相変わらず、作品のチョイスに脈絡ねーなー(´・ω・)
「紀元前1万年」/きわめてヘンテコな映画。文字どおり紀元前1万年前の世界を描いているのに、登場人物が現代人となんら変らない感性で会話を交わしている違和感(しかも現代英語で)。虐げられた民vs.残虐な支配者という善悪の対立描写もいかにも浅薄。ついでに登場する巨大動物たちの時代考証までいい加減らしい。ここには、たとえば全編マヤ語を使って”そうであったかもしれない”有史以前の風景や人類の原始的な生存本能をダイナミックに再現しようとした「アポカリプト」における志やビジョンのたぐいは皆無。つまり、ハナからCGを見せるためだけの映画ってことね。まあ、CGはよくできてたけどさ。
「フィクサー」/ジョン・グリシャム風の法廷ミステリーの類いかと思ったら、想像よりも渋いタッチの映画。借金でくたびれたジョージ・クルーニーをはじめ、出てくる主要人物がみな私生活ないし仕事上の問題を抱えているという設定がまず目を引く。幹となるミステリーに付随して交わされる登場人物たちの台詞の端々からおのおのの問題が枝葉のように伸びていくあたり、さすが脚本家出身の監督だと思わせられた(執筆も本人)。メインのミステリーと無関係の部分でクルーニーが己の人生を見つめ直すきっかけとなる寓話的なシーンが、じつは事件解決の糸口にもなる構成もいい。疲れ切った、それでもどこか希望に満ちたクルーニーの表情で終わるラストも印象的。
「君のためなら千回でも」/豊かなイスラム文化が存在した1970年代のアフガンを描いた珍しい映画。主人公の少年らを叙情溢れる映像で活写しつつ、彼らが直面する問題がのちに瓦解する国家や文化の隠喩になっている物語性がいい。はじめ、”アフガンが舞台の少年の成長物語”と聞いててっきりマイケル・ウィンターボトム風のロードムービーなのかと勝手に思ってしまったが、蓋を開けてみたらCGをうまく使った凧上げのシーンに代表されるように演出自体はかなりハリウッド的な正攻法。それでも英語ではなくすべて現地語で撮ると決めた監督の英断は、新疆ウイグル自治区に再現されたという当時のリアルな街並とあいまってこの作品を成功に導いている。ただ、かなり態度のはっきりした撮り方になっているぶんだけ、”主人公が少年時代に犯した罪は本当に償えたのか”という本来答えが出せないことに意味がある問いにまで”償えた”と答えが出ているように見えてしまうのはちょっともったいない気もしたけど。
「4ヶ月、3週と2日」/共産政権下のルーマニアで、ルームメイトの違法中絶を手助けする女子大生の1日を描いた映画……というだけでこれまた珍しい。手持ちのカメラによる長回しの映像と音楽を使用しない手法が、当時の共産国家の寒々しさをうまく醸しだしている。目先の困難に対処するためにひたすら奔走する主人公の疲労と絶望感のなかから、社会の歪みや閉塞感が浮かびあがってくる構成も巧妙。ラストの虚無感もまた味わい深い。
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」/限られた制作費のなかでうまく世界をつくってみせた好例。全体的に安っぽく見えずに済んでいる理由のひとつには、力のある役者陣が揃っていることがあると思う。とくに佐藤江梨子と永作博美は拾いもの。人間性に欠陥を抱える難しい役どころを最後までブレずにうまく自分のものにして演じきっている(両者ともキスシーンでちゃんと舌を入れててエラいぞ!w)。あえて奇をてらわず、とはいえCM出身の監督らしい映像的な遊びがところどころ入っている演出も好感が持てる。個人的には佐藤演じる”イヤな姉”にもっと無茶して欲しい気もしたけど、でもまあ大健闘だよなサトエリ。(←これからもいい役者としてさらに成長しそうな予感)
「ダージリン急行」/今回もウェス・アンダーソン節全開。エキセントリックな登場人物たちが色調のコントロールされた世界で、独特の会話や行動を繰り広げていく。この監督、唐突に”泣きスイッチ”を入れるのが個人的にはツボなんだけど、そのスイッチは今回も健在。不覚にもまた泣かされた。こんなにヘンでこんなに突拍子もないのに、たえず人間への愛と未来への楽観に貫かれてるせいでそうなるんだろうな、きっと。
「once ダブリンの街角で」/音楽の才能がある男女とデジタルカメラさえ用意できれば、低予算でも立派な映画がつくれるという好例……って、つくれねーよ、こんな映画(←いや、ホメてんだけどね)。あ、この男女、実際のミュージシャンなのね(そりゃそーだ)。この監督、自身も昔ミュージシャンやってたのね(納得)。シンプルなストーリーラインもじゅうぶん魅力的だけど、楽曲そのものにも力があるうえにさらに各曲を細切れに使用するのでなくきちんとフルコーラスで自然に聴ける構成になっているあたりは音楽畑出身の作り手ならでは(スピッツの名曲が惨殺事件レベルにまで切り刻まれていた「海でのはなし。」を連鎖的に思い出してしまったw)。ただ繰り返すけど、この作品を単純に”低予算でもいい映画がつくれる好例”と受けとめないほうがいいと思った。むしろ”低予算でいい映画がつくれてしまった希な例”と言うべきか。
「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」/「WANTED ウォンテッド」の予告編がかなり面白そう(馬鹿そう)だったので、予習(?)を兼ねてティムール・ ベクマンベトフ監督の旧2部作をまとめて鑑賞。”ロシアの「マトリックス」”という異名に恥じない出来映えだった。話の本筋とはまったく無関係のディテールがCGで極限まで誇張される手法のお馬鹿偏差値と運動力学指数(?)は、ある意味「マトリックス」以上。とくにネオと違ってこちらの主人公は全然無敵じゃないのがいい。なんか戦ってても痛そうだし、戦うのにどこか辟易としてる感じもするし(笑)。ネオは最後に世界を救ったけど、こちらの主人公は最後に自分を救うってのもなんか対照的でいいな。いや、笑えました。(←いい意味で)
「紀元前1万年」/きわめてヘンテコな映画。文字どおり紀元前1万年前の世界を描いているのに、登場人物が現代人となんら変らない感性で会話を交わしている違和感(しかも現代英語で)。虐げられた民vs.残虐な支配者という善悪の対立描写もいかにも浅薄。ついでに登場する巨大動物たちの時代考証までいい加減らしい。ここには、たとえば全編マヤ語を使って”そうであったかもしれない”有史以前の風景や人類の原始的な生存本能をダイナミックに再現しようとした「アポカリプト」における志やビジョンのたぐいは皆無。つまり、ハナからCGを見せるためだけの映画ってことね。まあ、CGはよくできてたけどさ。
「フィクサー」/ジョン・グリシャム風の法廷ミステリーの類いかと思ったら、想像よりも渋いタッチの映画。借金でくたびれたジョージ・クルーニーをはじめ、出てくる主要人物がみな私生活ないし仕事上の問題を抱えているという設定がまず目を引く。幹となるミステリーに付随して交わされる登場人物たちの台詞の端々からおのおのの問題が枝葉のように伸びていくあたり、さすが脚本家出身の監督だと思わせられた(執筆も本人)。メインのミステリーと無関係の部分でクルーニーが己の人生を見つめ直すきっかけとなる寓話的なシーンが、じつは事件解決の糸口にもなる構成もいい。疲れ切った、それでもどこか希望に満ちたクルーニーの表情で終わるラストも印象的。
「君のためなら千回でも」/豊かなイスラム文化が存在した1970年代のアフガンを描いた珍しい映画。主人公の少年らを叙情溢れる映像で活写しつつ、彼らが直面する問題がのちに瓦解する国家や文化の隠喩になっている物語性がいい。はじめ、”アフガンが舞台の少年の成長物語”と聞いててっきりマイケル・ウィンターボトム風のロードムービーなのかと勝手に思ってしまったが、蓋を開けてみたらCGをうまく使った凧上げのシーンに代表されるように演出自体はかなりハリウッド的な正攻法。それでも英語ではなくすべて現地語で撮ると決めた監督の英断は、新疆ウイグル自治区に再現されたという当時のリアルな街並とあいまってこの作品を成功に導いている。ただ、かなり態度のはっきりした撮り方になっているぶんだけ、”主人公が少年時代に犯した罪は本当に償えたのか”という本来答えが出せないことに意味がある問いにまで”償えた”と答えが出ているように見えてしまうのはちょっともったいない気もしたけど。
「4ヶ月、3週と2日」/共産政権下のルーマニアで、ルームメイトの違法中絶を手助けする女子大生の1日を描いた映画……というだけでこれまた珍しい。手持ちのカメラによる長回しの映像と音楽を使用しない手法が、当時の共産国家の寒々しさをうまく醸しだしている。目先の困難に対処するためにひたすら奔走する主人公の疲労と絶望感のなかから、社会の歪みや閉塞感が浮かびあがってくる構成も巧妙。ラストの虚無感もまた味わい深い。
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」/限られた制作費のなかでうまく世界をつくってみせた好例。全体的に安っぽく見えずに済んでいる理由のひとつには、力のある役者陣が揃っていることがあると思う。とくに佐藤江梨子と永作博美は拾いもの。人間性に欠陥を抱える難しい役どころを最後までブレずにうまく自分のものにして演じきっている(両者ともキスシーンでちゃんと舌を入れててエラいぞ!w)。あえて奇をてらわず、とはいえCM出身の監督らしい映像的な遊びがところどころ入っている演出も好感が持てる。個人的には佐藤演じる”イヤな姉”にもっと無茶して欲しい気もしたけど、でもまあ大健闘だよなサトエリ。(←これからもいい役者としてさらに成長しそうな予感)
「ダージリン急行」/今回もウェス・アンダーソン節全開。エキセントリックな登場人物たちが色調のコントロールされた世界で、独特の会話や行動を繰り広げていく。この監督、唐突に”泣きスイッチ”を入れるのが個人的にはツボなんだけど、そのスイッチは今回も健在。不覚にもまた泣かされた。こんなにヘンでこんなに突拍子もないのに、たえず人間への愛と未来への楽観に貫かれてるせいでそうなるんだろうな、きっと。
「once ダブリンの街角で」/音楽の才能がある男女とデジタルカメラさえ用意できれば、低予算でも立派な映画がつくれるという好例……って、つくれねーよ、こんな映画(←いや、ホメてんだけどね)。あ、この男女、実際のミュージシャンなのね(そりゃそーだ)。この監督、自身も昔ミュージシャンやってたのね(納得)。シンプルなストーリーラインもじゅうぶん魅力的だけど、楽曲そのものにも力があるうえにさらに各曲を細切れに使用するのでなくきちんとフルコーラスで自然に聴ける構成になっているあたりは音楽畑出身の作り手ならでは(スピッツの名曲が惨殺事件レベルにまで切り刻まれていた「海でのはなし。」を連鎖的に思い出してしまったw)。ただ繰り返すけど、この作品を単純に”低予算でもいい映画がつくれる好例”と受けとめないほうがいいと思った。むしろ”低予算でいい映画がつくれてしまった希な例”と言うべきか。
「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」/「WANTED ウォンテッド」の予告編がかなり面白そう(馬鹿そう)だったので、予習(?)を兼ねてティムール・ ベクマンベトフ監督の旧2部作をまとめて鑑賞。”ロシアの「マトリックス」”という異名に恥じない出来映えだった。話の本筋とはまったく無関係のディテールがCGで極限まで誇張される手法のお馬鹿偏差値と運動力学指数(?)は、ある意味「マトリックス」以上。とくにネオと違ってこちらの主人公は全然無敵じゃないのがいい。なんか戦ってても痛そうだし、戦うのにどこか辟易としてる感じもするし(笑)。ネオは最後に世界を救ったけど、こちらの主人公は最後に自分を救うってのもなんか対照的でいいな。いや、笑えました。(←いい意味で)
この記事へのコメント
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2008/09/27(土) 05:06:46 | | #[ 編集]
非公開さま、ご指摘ありがとうございました。早速修正しておきました〜。
もともとうろ覚えで、あとでちゃんと確認しようと思ってたのをうっかり忘れてました。
にしても、覚えにくい題名です。(←言い訳)
もともとうろ覚えで、あとでちゃんと確認しようと思ってたのをうっかり忘れてました。
にしても、覚えにくい題名です。(←言い訳)
2008/09/27(土) 13:34:21 | URL | K #JalddpaA[ 編集]
その違和感は「300」でも感じましたね。>紀元前1万年
300は違和感というか不愉快だった。アメリカの(一部の人の)主張すぎる気がして…(こんな感じだったはずがねー!)と、思ったら、なんだ、原作漫画は結構違う感じで、ちゃんと別の理由で戦っていたのでした。
300は違和感というか不愉快だった。アメリカの(一部の人の)主張すぎる気がして…(こんな感じだったはずがねー!)と、思ったら、なんだ、原作漫画は結構違う感じで、ちゃんと別の理由で戦っていたのでした。
2008/09/29(月) 19:12:50 | URL | じゅな #A/BRzygA[ 編集]
じゅなさま、ごぶさたです。
「300」については以前ここに感想書いたけど、「目が疲れた」みたいなことしか書いてないな(笑)
→http://eigarenrakucho.blog123.fc2.com/blog-date-20071030.html
「300」はハナから”そんなわけね〜”って前提で見てたから、思想的な部分があんまり気にならなかったのかも。
……って思ったけど、そういや見てるとき、”さすがにこれ、中東のひとたちは怒るんじゃねえか?”って感じたことを思い出した。
たしかにねえ。よりによって、虐殺してる相手はペルシア人だもんねえ。
「300」については以前ここに感想書いたけど、「目が疲れた」みたいなことしか書いてないな(笑)
→http://eigarenrakucho.blog123.fc2.com/blog-date-20071030.html
「300」はハナから”そんなわけね〜”って前提で見てたから、思想的な部分があんまり気にならなかったのかも。
……って思ったけど、そういや見てるとき、”さすがにこれ、中東のひとたちは怒るんじゃねえか?”って感じたことを思い出した。
たしかにねえ。よりによって、虐殺してる相手はペルシア人だもんねえ。
2008/09/30(火) 02:26:24 | URL | K #JalddpaA[ 編集]
いやまあ相手がゲームに出てくるクリーチャー的なデザインで幻想的なヴィジュアルになってたから、虐殺だとは思わなかったけれど(むしろここは評価できた部分かも)いかにもアメリカ的な家族愛の描写や「戦う理由」の説明がまったく納得いかなかったといいますか…しかし原作コミックの王様ってかなりすごい方で、単純に国を守るだとかの現代人的な感覚でなくて本当にその時代のその国っぽいこと言ってて…アメリカ化された映画のスパルタンとはまるで違ってたので、怒りを納めたことを覚えています。(一部のシーンしか読んでないけど)原作コミックはかなりいい感じでした。名作とうたわれるだけはありそうです。
2008/10/03(金) 04:58:37 | URL | じゅな #A/BRzygA[ 編集]
俺、ほとんど映像にしか注意を払ってなくて、戦う理由とか深く考えずに見ちゃってたなあ。
単に”映像の技術革新を見物するための映画”だと思えば(俺はそう思ってた)、怒りも少しは収まりそうな気も(笑)
ただ、原作は面白そうだね。読んでみようかな。
単に”映像の技術革新を見物するための映画”だと思えば(俺はそう思ってた)、怒りも少しは収まりそうな気も(笑)
ただ、原作は面白そうだね。読んでみようかな。
2008/10/04(土) 03:47:54 | URL | K #JalddpaA[ 編集]
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